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木戸幟 Logging...

ガジェットライター木戸幟がデジモノ業界やIT業界の裏に暗躍する陰謀とその痕跡を追うブログです.日々の出来事もメモ代わりに軽めに.フォローお気軽にどうぞ.※この記事はシェアワールド企画タブレットマギウスに関連する創作フィクションであり、実在の人物組織団体とは一切関係ありません

イングレス・ドローンがエージェントを狙う?

拡張現実オンラインゲーム ingress は,コアな人気を誇る某ラジオ番組で取り上げられたのをきっかけに,国内にもいっとき爆発的なブームを巻き起こした.

Ingress - Wikipedia

 

今でこそポケモンGOへの民族大移動が済んだ気配はあるが,未だ多くのエージェントと呼ばれるプレイヤーたちが,あの緑と青の終わりなき冷戦に興じているようだ.

円熟化してきたゲーム環境の中でエージェントたちが実しやかに噂しているのが,イングレス・ドローンの存在だ.

 

簡単に説明すると,ingressとは,実際の地図上に存在するオブジェクトをめぐって陣取りを続けるゲームだ,寺社仏閣や公共施設,モニュメントなどが拠点「ポータル」としてゲーム中に存在し,占領したポータル同士をつなぎ合わせて陣地を獲得する.

敵軍にポータルが奪い返されれば陣地は無効となり,味方軍の勢力は減少する.常に自分たちのポータルを守り,また敵軍の「ポータル」を奪うことで勢力を強め,一定期間の間に敵より勝る勢力を手にすることが勝利条件となる.

(このゲームで登録されているポータルの多くが,現在ポケモンGOで「ポケストップ」として流用されている)

 

「こいつやってるな」という感覚は今のポケモンGOブームの中でもわかりやすく感じることだが,ingress最盛期もまた「人気のない特定の場所でスマホをいじっている姿をよく見かける人」がいれば,その大体がエージェントだった.

得てして先方も自分をそう認識していることは百も承知だ.言葉こそかわさないが,連帯感にも似た奇妙な感覚を,きっと先方も共有していたことだろう.

そして,出来得る限り不審者オーラを出さぬよう,そそくさとポータルを攻略し,陣地を確保し,早々にその場を立ち去るのだ.

matome.naver.jp

 

自宅周辺でプレイしていると,そうした「拡張現実内の顔見知り」も増えてくる.だが,私やその顔見知りたちは,ある時期何度か奇妙な出来事に遭遇していた.

 この「ポータル」を占領するための攻撃は,実際に「ポータル」とされた位置に近づかなければできない.数十メートルほどの射程距離が設定されているのだ.

そして、この攻防に少しばかり慣れれば,

「自分以外に誰か攻撃に加わっているエージェントが近くにいる」

「ポータルのダメージを回復して守っている敵エージェントが近くにいる」

ことを,リアルタイムで感じ取れるようになる.

夜の公園のど真ん中でスマホの画面に夢中な立ちんぼがいたと思ったら,自分と同じポータル攻撃中の味方だったなどということがよく起きる.「拡張現実内の顔見知り」はそうして増えていく.

逆にポータルを守りながら,ダメージの減り方から,敵エージェントが実際にいる位置を割り出すことすら可能になる.

 

だが,私や「~顔見知り」が何度か遭遇したのは,「明らかに誰もいない場所からの攻撃」だ.

 

仕事の行き帰りに必ず通るそこで,いつものようにポータルハックをしようとしたその時,ちょうど画面上で,私が占有していたポータルが攻撃を受けていた.とある川の欄干を飾る銅像だ.

だがそのポータルの耐久値の減り方から方角と距離を推察するに,川のど真ん中からの攻撃行動を仕掛けているとしか思えなかったのだ.冬場の夜,九時ごろだったか.

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草ぼうぼうの川べりのほうへ目を走らせた時,私は確かに見た.

青いLEDをちかちかさせた黒い大型のドローンが,川の上空数メートルあたりをふわふわと浮いていたのだ.

 

すぐさま写真を撮ろうとしたが,残念ながらドローンは西側の森林公園のほうへ去っていき,カメラで捉え損ねてしまった.

だが,近所で活動するエージェントの何人かが,この画面にもあるオープンチャット上で,ポータルを攻撃しているらしいドローンの存在を仄めかしていた.

 

私は少しの間は,ドローンの写真を撮り損ねたことをただ口惜しがっていた.

だが,ふとした時から別の可能性に思い当たり恐ろしくなってきた.

こちらがドローンを撮影しようとしたのと同じように,ドローンもエージェントを撮影しているかもしれないのだ.

 

レゾネーターの供給というポータルの本格的な防衛手段は,攻撃と同じく実際にポータルに近づいて行わなければならない.

だが,ドローンがポータル攻撃を行うことで近辺のエージェントを誘い出し,スマホ片手にのこのこと現れたエージェントを,ゲーム内のデータと照らし合わせて写真を撮影する.この方法で,いくらでもエージェントと実際の個人を紐づけることが可能ではないだろうか.

カメラ搭載ドローンの小型化は進む一方だ.私やエージェントが目撃したのは,おそらく長時間行動可能なバッテリーを搭載しているであろう大型なものだったが,この先いくらでもさらなる省力化,小型化が可能なことは明白だ.

 

では,そのドローンは一体誰の手で操られていたものか.

私の予想では他でもない,ingressという拡張現実を提供しているGoogle自身だ.

 

現在存在する「ポータル」の大半は,エージェントが自ら実際のオブジェクトを撮影し,ゲーム内で位置情報と共にGoogle(正しくはingress開発元のNiantic,Inc.)に申請することで登録されたものだ.

Niantic, Inc. - Wikipedia

Googleは労せずして,今までGoogleMapで捉えきれなかったローカルな情報を手に入れたことになる.

これと同じように,近隣に在住しているエージェントの個人情報を収集していてもおかしくはない.身なりから推測できる年齢層,収入,ITリテラシーレベル等々,キーとなるエージェント名に紐づいた地域住人情報の貴重なサンプルデータを,Googleなら如何様にも活用できるだろう.

 

加えて、先日の記事で少し触れた,ナノ未満サイズCPUの開発と合わせて想像する.

それこそ羽虫のようなサイズのイングレス・ドローンが,ingress内でエサを蒔いてエージェントの個人情報を収集し始めたとしても,もはや我々はよほど注意深く周囲の「顔見知り」を探しでもしなければ,到底気付きようもないだろう.

 

そして今や,それができるのはingressだけに留まらない.

さて,上野公園でミニリュウをエサに,Googleは一体どれだけの個人情報を確保したのだろうか.

 

今,拡張現実の価値は現実を苗床にして,恐るべき速度で成長している.

  

kidball 木戸幟

 

 

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※当記事はシェアワールド企画タブレットマギウスに関連する創作フィクションであり、実在の人物組織団体とは一切関係ありません